この強烈な磁場を生み出す源泉は、作者・ナガノの類まれな作家性にある。『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』において、モモンガという存在は極めて異質なノイズとして機能している。ひたすらに「かわいこぶる」ことで他者からの承認と庇護を強奪しようとするそのエゴイスティックな挙動は、甘美なパステルカラーの世界に毒薬を一滴垂らしたかのような緊張感をもたらす。
ナガノの卓越したキャラクターデザインは、無駄を極限まで削ぎ落としたシンプルな輪郭線でありながら、生々しい感情の揺らぎを描き出す。愛らしさと暴力性、純真さと邪悪さ。相反する属性がひとつのフォルムに同居することで、見る者は本能的な居心地の悪さと抗いがたい魅力を同時に突きつけられるのだ。