鰹を綺麗におろすには、身の柔らかさを計算に入れた正確な手順を踏む必要があります。ここでは標準的な2〜3kg前後の鰹を想定し、出刃包丁を使った頭とエラの落とし方から順を追って解説します。
ステップ1:ウロコ(硬い胸甲)のすき引きと頭部の切断
鰹には全身に細かいウロコがあるだけでなく、胸ビレの周囲から側線にかけて「胸甲(きょうこう)」と呼ばれる鎧のように硬いウロコ帯が存在します。まず出刃包丁の刃先を寝かせ、この胸甲を削ぎ落とす「すき引き」を行います。ここを怠ると、後で包丁を入れた際に刃が引っかかり、身を押し潰す原因になります。
続いて、胸ビレと腹ビレの後ろを結ぶ線に沿って、両面から斜めに包丁を入れ、中骨の関節に刃を当てて一気に断ち切ります。このとき、エラの内側に包丁を入れて膜を切り離しておけば、頭部と一緒にエラと内臓を一度に引き抜くことが可能です。
ステップ2:腹腔内の洗浄と徹底的な水気オフ
内臓を抜いたら、背骨沿いにある薄膜を包丁の先で切り開き、露出した血合いを流水と竹ササラ(または硬めのブラシ)で一気に洗い流します。洗い終えたら、ここが分岐点です。まな板を一度完全に洗浄して水気を拭き取り、鰹の内外も吸水紙で完全にドライな状態へとリセットします。
ステップ3:鰹のさばき方三枚おろし手順
鰹のおろし方は、伝統的な「腹・背・背・腹」の順に進める大名おろしまたは本おろしが基本です。
- 腹側から包丁を入れる:尾を手前に置き、腹側の切開線から中骨に向かって、刃先が中骨にカリカリと当たる感触を確かめながらガイドラインを入れます。
- 背側から切り進める:魚の向きを反転させ、背ビレの上から中骨に向かって徐々に刃を深く入れ、背骨の真上まで切り進めます。
- 身を骨から切り離す:尾の付け根に刃を貫通させ、中骨と平行に刃を滑らせて上身を外します。反対側の身も同様に処理し、これで「上身」「中骨」「下身」の三枚になります。
ステップ4:鰹の柵取りと刺身の切り方詳細まとめ
三枚におろした身は、腹骨をすき取った後、真ん中を走る小骨と血合肉に沿って「背節(雄節)」と「腹節(雌節)」の2本に切り分けます(節取り)。血合い部分は好みに応じて幅5ミリ程度を切り落とすと、特有のクセが一切ない極上の赤身になります。
刺身にする際は、白身魚のように薄く引いてはいけません。鰹は身が柔らかく鉄分が豊富なため、厚さ8〜10ミリ前後の平造りに切り分けることで、濃厚な旨味としっかりとした食感が口いっぱいに広がります。包丁の根元から刃先までを大きく使い、一度の引き切りで刃を滑らせるのが角を立てる秘訣です。