現場の警察官が真っ先に反応するのは「季節感のズレ」と「視線の不自然さ」だ。真夏に長袖の厚着をしていたり、真冬に薄着で歩いていたりする人物は、薬物中毒による体温調節異常や、凶器の隠匿を疑われやすい。さらに、大きすぎるリュックサックやウエストポーチを不自然な位置で抱えている場合も、所持品に疑念を持たれる典型的なトリガーとなる。
行動面での基準はよりシビアだ。パトカーや警察官の姿を視界に捉えた瞬間、急に歩行速度を変える、スマホを見るふりをして立ち止まる、あるいは突然路地へ曲がるといった行動は、警察用語で「挙動不審」とみなされる最大の要因になる。警察官と目が合った瞬間に視線を急激にそらす、あるいは逆に過剰に凝視し続ける行為も、警戒対象としてマークされる直接の引き金だ。
選定の基準は単なる直感だけではない。警察官は対象者の瞳孔の開き具合、発汗の異常さ、歩行時の重心のブレまで瞬時に観察している。何らやましいことがない一般人であっても、「警察を極度に恐れているような身体的反応」を見せた瞬間、職務質問のターゲットへと浮上してしまう。