大塚明夫は1959年11月24日生まれ、東京都出身。現在は名門マウスプロモーションに所属し、同事務所の取締役も務める重鎮です。整った体躯とダンディな風貌、そして一度聴いたら忘れられない深みのある低音ボイスで知られていますが、そのキャリアは決して平坦なエリートコースではありませんでした。
偉大な声優・俳優であった父・大塚周夫の背中を見て育ちながらも、若き日は役者の道を志さず、トラック運転手や土木作業員など様々な職を転々とする日々を過ごしていました。転機が訪れたのは23歳の時です。人生の進路を模索する中で文学座の研究生となり、劇団江崎プロダクション(現・マウスプロモーション)へ移籍。声優としての本格的なキャリアスタートは20代後半という、業界内では極めて「遅咲き」の部類に入ります。
下積みを経て、1988年の『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』や1991年の『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(アナベル・ガトー役)で強烈なインパクトを残し、一躍トップ声優の仲間入りを果たしました。血筋に甘えることなく、自らの泥臭い人生経験を表現力へ昇華させたことこそが、今日に至る骨太な演技の源泉となっています。