上沼恵美子(旧姓・橋本恵美子)氏は1955年4月13日、兵庫県三原郡南淡町(現・南あわじ市)に生まれました。幼少期から卓越した歌唱力と話術の才能を見せていた彼女は、芸能界への憧れを抱く父親の強い主導のもと、実姉の百々子氏(後の海原万里)とともに演芸の世界へと足を踏み入れます。
1971年、高校1年生(15歳)のときに姉妹漫才コンビ「海原千里・万里」を結成し、本格デビュー。師匠である海原お浜・小浜門下で磨かれた芸は瞬く間に開花し、デビュー間もなくして「NHK上方漫才コンテスト」優秀話術賞や「上方お笑い大賞」銀賞など名だたる賞を総なめにしました。
1976年にリリースされた楽曲『大阪ラプソディー』(作詞:山上路夫、作曲:猪俣公章)は、累計売上40万枚以上を記録するメガヒットを達成。大阪の街情を鮮やかに描いたこの楽曲は、半世紀近く経った現在でも関西を代表する名曲として広く親しまれています。
一方で、当時の過密スケジュールは想像を絶するものでした。自著や回顧録によると、寝る暇もなく連日テレビ局と劇場を往復し、移動のタクシー内で意識を失うように眠る日々。10代半ばの少女が背負うにはあまりにも過酷な労働環境と家族の期待という重圧が、常に彼女の肩にのしかかっていました。