ネット空間に氾濫するスキンケア情報の中には、皮膚科学的な見地から見て逆効果となる誤謬が数多く存在します。現場の医師が警鐘を鳴らす代表的な盲点を整理します。
第一の誤解は、「ニキビ薬はできた赤い部分だけにピンポイントで塗れば十分」という思い込みです。前述の通り、ベピオやディフェリンといった面皰治療薬の本質は「予防」にあります。ニキビの芽である微小面皰は、肉眼で見える赤ニキビの周囲数センチにわたって無数に潜んでいます。ニキビができやすいエリア全体(全顔またはTゾーン・Uゾーン全体)に広く塗布しなければ、根本的な再発防止にはつながりません。
第二の誤解は、「皮脂を徹底的に落とすために強力な洗顔と脱脂を繰り返す」行為です。過度なスクラブ洗顔や1日に何度も洗顔を行う行為は、皮膚の角質細胞間脂質(セラミドなど)を破壊し、バリア機能を崩壊させます。乾燥を感じた肌は防御反応として余計に皮脂を分泌させ、角質が硬化して毛穴が詰まりやすくなるという悪循環を招きます。洗顔は1日2回、たっぷりの泡で優しく洗い、洗顔後はノンコメドジェニックテスト済みの保湿剤で水分・油分を適切に補うのが鉄則です。
第三の誤解は、「市販のニキビ用塗り薬を数ヶ月単位で常用し続ける」ことです。市販薬に含まれる殺菌成分や消炎剤を長期間連用すると、肌の常在菌バランスが崩れたり、薬剤性接触皮膚炎を引き起こして皮膚が慢性的な炎症状態に陥ることがあります。市販薬を使用して1〜2週間経っても改善の兆候が見られない場合は、直ちに使用を中止し、専門医の診断を仰ぐべきです。