現在の中古車市場において、マツダRX-7(特にFD3SおよびFC3Sの後期型)の価格は天文学的な水準に達しています。大手中古車情報サイトや国内オークションの最新相場データによると、FD3Sの平均店頭価格は600万〜1,200万円、最終限定モデル「スピリットR」や低走行の極上車に至っては2,000万円超の値がつくケースも珍しくありません。FC3Sについても、状態の良い車両は400万〜700万円前後で推移しており、かつて手頃なスポーツカーとして親しまれていた面影はありません。この高騰を引き起こしている構造的要因は主に3点存在します。
第1の要因は、北米の「25年ルール(アメリカ合衆国法典に定められた、製造から25年が経過した右ハンドル車の輸入解禁措置)」による海外バイヤーの爆買いです。FD3Sの初期型から中期型、そして後期型までもが続々とこの対象となったことで、北米を中心とするJDMコレクターが円安を背景に日本の良質な個体を大量に買い付け、国内のタマ数が急速に減少しました。
第2の要因は、13Bロータリーエンジン特有の部品供給難と維持コストの上昇です。ロータリーエンジンの中核をなすハウジングやアペックスシール、エキセントリックシャフトなどの純正部品は製廃(生産廃止)や大幅な値上げが続いており、維持できる個体そのものが限られてきています。コンディションを維持した実動車はそれ自体が希少資産と見なされているのです。
第3の要因は、『頭文字D』および『MFゴースト』がもたらした不変のカルチャープレミアムです。世界的な配信プラットフォームによってアニメシリーズが世界中で視聴され、若い世代のカーガイにとっても「高橋兄弟のRX-7」は神話化されたドリームカーとなっています。需要が世界規模で拡大し続ける一方、供給が二度と増えない市場構造が、価格を押し上げ続けています。