あれほどの集客力を誇ったブランドがなぜ日本市場から姿を消したのか。報道各社の取材データおよびアパレル・飲食業界関係者の分析を総合すると、3つの複合的要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、出店直後に直面したパンデミックと新宿南口エリアの人流激変です。2019年秋の華々しいオープンからわずか数か月後、2026年春以降の外出自粛やテレワークの定着により、オフィスワーカーと観光客の往来が激減。テイクアウト需要はあったものの、イートインを中心とする体験型カフェとしての収益構造に大きなブレーキがかかりました。
第2に、輸入原材料の高騰とラグジュアリーファストフードとしての価格設定です。eggslutの看板商品である「フェアファックスサンド」やマッシュポテトと半熟卵を瓶詰めにした「スラット」は、平飼い卵や特製発酵バター入りのリッチなブリオッシュを使用するこだわりゆえ、単品でも1,000円前後の価格帯でした。日常的な朝食利用としてはハードルが高く、リピート頻度の維持が難しかった側面があります。
第3は、運営元であるベイクルーズのフード事業ポートフォリオ再編です。同社はJ.S. BURGERS CAFEやLUKE'S LOBSTERなど複数の有力飲食ブランドを展開しており、定期的なブランドの見直しと契約期間の満了に伴い、収益性とトレンドを見極めた上での戦略的撤退を選択したと見られます。