映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で若き日の工場長を演じたティモシー・シャラメと、2005年版のジョニー・デップ。同じロアルド・ダールの原作から派生したキャラクターでありながら、二人が提示したウォンカ像は鮮やかなコントラストを描いています。
シャラメが演じたウォンカは、亡き母との約束を胸にチョコレートで人々を幸せにしようとする、純粋で情熱的な「心優しき夢想家」です。ミュージカル映画としての華やかさとともに、誰もが応援したくなるポジティブな青年像が丁寧に描かれました。
それに対し、ジョニー・デップが体現したウォンカは、歯科医の父親から受けた抑圧やトラウマに囚われ、人間不信をこじらせた「完成された奇人」です。子どもの無邪気さと大人の残酷さが同居したデップ版ウォンカは、単なる善人ではなく、時に罰を与える神のような冷徹さを覗かせます。シャラメ版の希望に満ちた世界観を堪能した後にデップ版を見返すと、彼がいかにして人を拒絶し、あの閉ざされたチョコレート工場に籠もるに至ったのかというドラマがより一層深みを増します。