日常会話やビジネスシーンで耳にする機会が増えた「利他的」という言葉。利他的とは、自己の利益や保身よりも他者の利益、幸福、助けになることを最優先に行動する姿勢や心情を指します。語源は仏教用語の「自利利他(じりりた)」や、19世紀のフランスの哲学者オーギュスト・コントが提唱した「アルトルイズム(altruism)」に由来します。
理解を深めるうえで不可欠なのが、利他的の対義語である「利己的」の意味との対比です。利己的とは、他者の都合や不利益を顧みず、ひたすら自分自身の欲望や損得のみを追求する態度を指します。両者の本質的な分岐点は「行動の動機が誰の視点に置かれているか」にあります。
利己的と利他的の違いを図式化すると、単なる善悪の二元論にとどまりません。利己的な行動は短期的には個人のリソースを最大化しますが、長期的には周囲の信頼を失うリスクを孕みます。対して利他的な姿勢は、他者との強固な信頼関係や社会的資本を築く土台となります。ただし、見返りを一切求めない純粋な利他性が成立するのか否かは、今なお心理学や倫理学で激しい議論が交わされるテーマです。