イタリア産生ハム(プロシュット・クルード)の頂点に君臨するのが、DOP(原産地名称保護)に指定されたパルマ産とサン・ダニエーレ産です。両者は同じ非加熱長期熟成ハムでありながら、風土や製法によって明確な個性の違いを持ちます。
パルマ産プロシュット(Prosciutto di Parma)は、エミリア・ロマーニャ州パルマ郊外の特有の微気候(アペニン山脈から吹き降ろす乾燥した風)の中で熟成されます。原材料は厳選されたイタリア産豚の骨付きもも肉と海塩のみ。添加物を一切使わず、最低14ヶ月以上熟成されることで、ナッツのような甘い芳香としっとりとしたマイルドな塩味が生まれます。
一方のプロシュット・ディ・サン・ダニエーレ(Prosciutto di San Daniele)は、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の丘陵地帯で作られます。アルプスからの冷たい風とアドリア海からの温暖な海風が交差する環境で育まれ、特徴的な「ギター型」にプレスされて熟成されます。パルマ産に比べて肉質が引き締まり、より繊細で上品な甘みと深いコクを誇ることから、現地イタリアでも屈指の高級品として珍重されています。