美女が朽ちゆく仏教絵画「九相図」の謎!なぜ描かれ誰がモデルなのか

美女が朽ちゆく仏教絵画「九相図」の謎!なぜ描かれ誰がモデルなのか

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九相図の核心は、生前の美しい姿から肉体が自然へと分解される9つの段階(九相)を容赦のないリアリズムで描き出す点にあります。経典や作品によって細部の呼称に多少の違いはあるものの、基本的な9段階の変遷は次の通りです。

1. 脹相(ちょうそう):息絶えた肉体の内部に腐敗ガスが充満し、風船のようにパンパンに膨張する段階。
2. 壊相(えそう):皮膚が内圧に耐えきれなくなり、各所が裂け始める段階。
3. 血塗相(けちずそう):裂けた皮膚や体孔から、赤黒い血液や体液が滲み出して全身を覆う段階。
4. 膿爛相(のうらんそう):肉が本格的に腐り、ドロドロに溶けた膿が噴き出す段階。
5. 青瘀相(しょうおそう):遺体全体が青黒く変色し、見るも無残な色合いへと変貌する段階。
6. 噉相(たんそう):放置された遺体に野犬、カラス、猛禽類などの鳥獣が群がり、肉を引きちぎって贪り食う段階。
7. 散相(さんそう):肉を食い尽くされ、手足の関節が外れて骨が周囲にバラバラに散乱する段階。
8. 骨相(こつそう):風雨に晒され、残った皮や腱が消え去って純粋な白骨だけが残る段階。
9. 焼相(しょうそう):散らばった骨が集められて火葬され、あるいは風化して灰と土に同化し、完全に消滅する段階。

作品によっては生前の華麗な姿を「生前相(しょうぜんそう)」として冒頭に置き、全10場面で構成される絵巻も存在します。九相図が人々に強烈な恐怖と嫌悪感を抱かせる理由は、「美」と「グロテスク」の極端な落差にあります。美貌を誇った人間であっても、生物である以上はこの腐敗プロセスから絶対に逃れられないという残酷な現実を、生々しい筆致で突きつけられるからです。

林 結菜
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林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。