この先進的な取り組みのバックボーンとなったのが、当時の河村たかし市長らを筆頭とする行政の強力な後押しだった。「事故を防ぎ、誰もが安心して利用できる街づくり」を掲げ、議会での議論を経て成立したのが「名古屋市エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」である。
行政は単に看板を立てるだけでなく、AIカメラを用いた実証実験や、インパクトのある視覚デザイン(足元ステッカーや手すり広告)を投入。さらに、駅員やボランティアによる現地指導を地道に繰り返した。トップダウンの強いメッセージ性と、市民生活に寄り添ったボトムアップの啓発活動が噛み合わさったことで、名古屋ならではの独自の安全文化が醸成された背景がある。