山手のエレガンスとは打って変わり、国道43号線の南側に広がるのは、白壁と杉玉が並ぶ日本酒の聖地だ。灘五郷酒造組合を中心に、幾多の老舗蔵元が伝統を守り続けるこの臨海部は、日本一の清酒製造業の集積地として君臨してきた。
六甲おろしが生み出す冷気と、宮水と呼ばれる奇跡の名水。この土地ならではの風土が育てた酒造りは、今や単なる生産拠点を越えて体験型観光のフロンティアへと進化している。歴史ある木造蔵を改装したミュージアム、搾りたての原酒を味わえるペアリングバー、外国人ツーリストを熱狂させる蔵開きイベント。伝統の技を産業遺産として未来へ繋ぐ試みが、東灘のベイエリアに力強い賑わいをもたらしている。