エネルギー消費量を科学的に推計する際、国立健康・栄養研究所が公表している「身体活動のメッツ(METs)表」が世界的な標準指標として用いられます。安静時(静かに座って休息している状態)を「1.0METs」と定義したとき、一般的なデスクワーク作業(PC入力や書類作成)は約1.3〜1.5METsと算出されます。これに対し、立ったまま行う軽作業やレジ打ち、接客販売は約1.8〜2.3METs、さらに病棟巡回や配膳など歩行が加わる業務は約2.5〜3.0METsまで跳ね上がります。
活動時の消費カロリーは、以下の厚生労働省推奨の計算式によって明確に導き出せます。
消費エネルギー(kcal) = 1.05 × METs × 時間(h) × 体重(kg)
例えば、体重55kgの成人が実働8時間の業務を行った場合を比較してみましょう。座りっぱなしのデスクワーク(平均1.4METs)における総消費エネルギーは約647kcalにとどまります。一方、店舗販売や立った状態での手作業(平均2.2METs)では約1,016kcalに達し、その差は1日あたり約370kcalに及びます。さらに院内やフロアを歩き回る看護師や配膳スタッフ(平均2.8METs)の場合、8時間で約1,294kcalを消費する計算となり、デスクワークのほぼ2倍に匹敵するエネルギーを代謝していることになります。
1kgの体脂肪を燃焼させるために必要な熱量は約7,200kcalです。計算上は、座り仕事から立ち仕事にシフトするだけで、食事内容を変えずとも20日ほどで体脂肪が1kg自然減少するだけのエネルギー勾配が生まれています。それにもかかわらず現場から「痩せない」という悲鳴が絶えないのはなぜか、その疑問を紐解く手がかりは職種別の詳細な負荷構造にあります。