歴史ある街並みが広がるおはらい町において、この店が果たす役割は極めて大きい。実はおかげ横丁自体、銘菓「赤福餅」で知られる株式会社赤福が、伊勢神宮への感謝の意を込めて1993年に町並みを再興したプロジェクトから始まった。その中核施設として多くの人々を迎えてきたのが、かつて旅籠としても賑わったこの木造建築だ。
宮大工の手仕事が残る重厚な建物は、単なる飲食店を超えた文化財級の価値を漂わせる。大広間の畳の上に腰を下ろし、天井を渡る立派な梁を見上げながら食事を味わう体験は、まさに江戸や明治の伊勢参りを追体験する感覚そのものだ。地域の歴史と文化を次世代へ引き継ぐ拠点として、今もなお大切に守り続けられている。