『名探偵コナン 漆黒の追跡者』におけるアイリッシュの暗躍は、歴代の劇場版オリジナル組織メンバーの中でも群を抜いて緻密かつ大胆でした。彼の本来の容姿は、金髪にがっしりとした屈強な体躯を持つ大柄な男ですが、作中序盤から中盤にかけてはその素顔を一切見せません。
アイリッシュは、広域連続殺人事件の捜査を指揮していた警視庁刑事部捜査一課の松本清長管理官(当時警視)を拉致・監禁し、精巧な特殊メイクとボイスチェンジャーを駆使して松本管理官本人に完全変装。警視庁、神奈川県警、静岡県警、長野県警など各県警のエリートが集結した合同捜査本部のトップとして、捜査情報を組織へ筒抜けにしながら陣頭指揮を執っていました。
組織からアイリッシュへ下されていた本来の任務は、連続殺人事件の被害者の1人が所持していた「組織の工作員(NOC)リストが記録されたメモリーカード」を警察より先に回収することでした。しかし、彼はその任務の裏で、独自にある危険な調査を並行して進めていたのです。
その調査こそが、合同捜査会議に紛れ込んでいた江戸川コナンの身元特定でした。アイリッシュは並外れた洞察力でコナンの異常な推理力に着目し、警察のデータベースや帝丹高校の文化祭で工藤新一が演じた「黒衣の騎士」の粘土仮面に残された指紋と、帝丹小学校でコナンが作った粘土細工の指紋を独力で照合。「江戸川コナンの正体は、幼児化して生き延びていた工藤新一である」という組織最大のタブーを完全に暴き出しました。