蛇の骨が放つ独特の美しさは、無駄を極限まで削ぎ落とした機能美に由来する。四肢を完全に退化させた蛇は、体幹部全体を推進力に変えるため、他の脊椎動物には見られない特異な進化を遂げた。その最たる特徴が、圧倒的な数を誇る椎骨(背骨)と対をなす肋骨の連続構造である。
一般的な哺乳類である人間の椎骨が頸椎から尾骨まで合わせても30数個程度であるのに対し、大型のニシキヘビや日本固有のアオダイショウでは、椎骨の総数が200個から400個以上に達する。しかも、そのほぼすべてに左右一対の肋骨が連結している。特筆すべきは、哺乳類のように肋骨を腹側でつなぎ止める「胸骨」が存在しない点だ。腹側が開いた構造になっているため、自身の頭部よりも巨大な獲物を呑み込んだ際、肋骨が外側へ大きく広がり、柔軟に体内を通過させることができる。
さらに頭骨(頭骨部)の構造も特筆に値する。下顎の先端(下顎結合)は強固な骨で固定されておらず、伸縮性の高い靭帯で結ばれている。左右の顎を交互に動かしながら獲物を喉の奥へと引きずり込むメカニズムは、精密機械のような関節配置によって支えられている。これら無数の骨格単位が寸分の狂いもなく連動する様は、博物学者や解剖学者たちを何世紀にもわたって魅了し続けている。