打者がファウルを意図的に連発する「カット打法」に対し、なぜそこまで強い拒否反応や批判が集まったのでしょうか。その根本には、「弱者の戦術」としての合理性と「高校野球が求める美徳」との致命的な乖離が存在します。
カット打法が批判された最大の理由は、相手投手に1打席で10球〜20球近くを投げさせ、肩や肘を極度に消耗させる点にありました。打ち気を逸らし、カウントを稼いで根負けした投手が四球を出す姿に対し、一部の高校野球ファンや関係者から「正々堂々とした勝負ではない」「相手の体力を削るだけの遅延行為に見える」という感情的な反発が噴き出したのです。
また、球場の観客やテレビ視聴者にとって、バットを短く持ち、最初からヒットを狙わずにファウルゾーンへボールを当てるだけの攻防は「試合展開が停滞して面白みに欠ける」と映った側面も否定できません。カット打法による戦術的なファウル打ちは、勝つための極めて合理的なアプローチでありながら、観戦者側のエンターテインメント性や高校野球らしい爽快感と真っ向から衝突してしまったのです。