午後3時。寒風が吹き抜ける六本木ヒルズアリーナは、演芸場とはおよそかけ離れた過酷な舞台だ。コートを着込んだ観客の手は冷え切り、笑いの初速はどうしても鈍くなる。吐く息が白く染まる中、マイクの前に立つ漫才師たちには、劇場の何倍もの声量とフィジカルな突破力が求められた。
朝日放送テレビとテレビ朝日の共同制作によって全国中継されたこの舞台は、日本屈指のお笑いコンテストにおける「最大の難所」として知られる。防寒対策を施しながらも指先を震わせる芸人たち。ウケの波が風に乗って霧散してしまうリスクを抱えながら、各組は持ち時間4分に魂を削り取った。技術だけでは勝てない。寒さをねじ伏せる圧倒的な熱量と、一瞬で空気を掌握する瞬発力だけが生き残る条件だった。