宮地典秀は優れた研究者であると同時に、類まれな指導者でもあった。彼は東京帝国大学や国学院大学で長年にわたり教鞭を執り、戦後の日本史学界を担う数多くの人材を育成した。
彼の講義は極めて緻密であり、学生に対して古文書の即座の解読と徹底した背景考察を求めた。感覚的な宗教解釈を一切排し、一文字の記載に潜む政治的・社会的背景を読み解く姿勢を叩き込んだのである。
- 史料講読の厳格化: 変体仮名や漢文古文書の正確な解読技術の教授。
- 現地調査の推奨: 現場の地形や神社の配置を自らの目で確かめるフィールドワークの重要性の叩き込み。
- 比較宗教史の視点: 日本の神道を孤立したものとして捉えず、アジアおよび世界の宗教現象と比較分析する柔軟性の育成。
戦後、神道史学が国家主義の呪縛から解き放たれ、健全な歴史学の一分野として再出発できた背景には、宮地が育てた門下生たちの存在があった。