2002年、宗次徳二氏は53歳という若さで代表取締役社長を退任し、後任を叩き上げの浜島俊哉氏に譲りました。創業者でありながら経営権や役職への執着を一切見せず、会長職にも留まらずに一線を退いたこの決断は、当時の経済界に大きな衝撃を与えました。事業承継の難しさが叫ばれる日本企業において、後進に権限を完全に委譲する見事な引き際として今なお高く評価されています。
その後、2015年には大手食品メーカーのハウス食品グループ本社によるTOB(株式公開買付)が実施され、壱番屋は同社の子会社となりました。宗次夫妻が保有していた株式の大半を譲渡したこの再編劇の背景には、創業家支配からの脱却と、グローバル展開を加速させるためのサプライチェーン強化という明確な狙いがありました。カレーの原材料供給元として長年深いパートナーシップを築いていたハウス食品と組むことで、海外市場での競争力を盤石にする合理的な選択だったのです。