スコッチとバーボンの味の比較において、決定打となるのが「熟成樽の熱処理」と「乾燥工程での泥炭(ピート)の使用」です。
バーボンの最大の特徴である甘やかな芳香は、内側を強くバーナーで焦がしたアメリカンホワイトオーク新樽から抽出されます。木材のセルロースやリグニンが高熱で分解されることにより、バニリン(バニラ香)やオークラクトン(ココナッツ香)、カラメル色素が生成されます。新樽を使うため、樽由来の成分が短期間でダイレクトに原酒へ溶け出し、濃厚でパンチのあるアタックと甘い余韻が生まれます。
対照的に、スコッチウイスキーの象徴とも言える独特の「煙くささ」や薬品のようなアロマは、大麦麦芽を乾燥させる際に燃料として使われる泥炭(ピート)の煙に由来します。ピートを焚き込むことで、麦芽にフェノール化合物が付着し、あの独特なピート香・スモーキーフレーバーが宿ります。
さらにスコッチは、バーボンの熟成に使われた後の空き樽(バーボンカスク)や、スペインの酒精強化ワインに使われたシェリー樽などを再利用して熟成させます。一度エキスが抜けた古樽を使うため、原酒自体の持つ華やかなエステル香や麦芽の風味が損なわれず、スコットランドの冷涼で湿潤な気候の中で10年、12年と時間をかけて繊細かつ複雑なアロマへと進化していくのです。