その名勝負の相手こそ、当時「精密機械」と恐れられたWBC(世界ボクシング評議会)王者のロドルフォ・ゴンザレスであった。圧倒的優位と見られていた強敵を相手に、8ラウンドKO勝利という劇的な幕切れを演じた瞬間、勝者が掲げた両拳。それこそが人々に「ガッツのポーズ」として強く印象付けられたのだ。
日本プロボクシング協会の関係者や当時の観客の証言によると、あの瞬間のパフォーマンスは意図的なアピールではなく、限界を超えた闘いの末に溢れ出た本能的な感情の吐露であったという。苛烈なボクシングの世界で見せた純粋な喜びの形が、観客の心を打ち、スポーツ界全体へ普及する決定打となった。