現在、店舗を訪れる食通たちの間で最大の関心事となっているのが予約の確保だ。公式オンライン台帳の導入以降、昼のピーク枠や週末の夜席は受付開始から数分で満席となる日が続いている。混雑を避けて至高の一杯にありつくためには、平日の午後1時半以降を狙うか、月初に開放される翌月分の優先枠を押さえるのが定石となった。
お目当てとなるのは、1日わずか15食のみ供される「極上・大串鰻重」である。厳選された太物のみを使い、脂の乗りと皮の柔らかさが極限の均衡を保つこの逸品は、開店直後に売り切れることも珍しくない。
この味を決定づけているのが、創業時から継ぎ足されてきた門外不出の秘伝タレだ。濃厚でありながら後味にしつこさを残さないその液体は、熟成された三河産本みりんと厳選醤油、そして氷砂糖を精密な温度管理下で合わせる。さらに、素焼きにした鰻の頭や骨をじっくり煮出し、ゼラチン質と芳醇な脂を完全に乳化させる。長年の火入れによって角が取れたタレは、炭火の熱で鰻の身と一体化し、唯一無二の深い照りを生み出す。