主人公・谷田部みね子を演じた有村架純の演技は、間違いなく本作の核である。歴史上の偉人や特別な才能を持つヒロインではなく、「どこにでもいる普通の女の子」としての佇まいを完璧に体現してみせた。
出稼ぎに出た父親の失踪という重厚な境遇に直面しながらも、泣きじゃくり、悩み、それでも笑顔で洋食屋「すずふり亭」で働き続ける姿。そこには、視聴者が自分の身近な家族や友人を重ね合わせるだけのリアルな感情の揺れ動きがあった。素朴な茨城弁のイントネーションとともに発せられる一言一言が、ドラマ全体に確かなリアリティと温もりを与えていたのである。