古風な村落。湿り気を帯びた空気と草木を焦がす煙の匂い。そこは平和とは無縁の場所だ。『忍 対 ラリル姫』の物語は、綺麗ごとのヒーロー像を完膚なきまでに叩き潰す。
物語の軸となるのは、任務遂行のためなら自らの感情すら切り捨てる冷徹な忍集団と、異形の威圧感を纏う異端の存在「ラリル姫」との衝突だ。ここで描かれるのは単なる「正義対悪」の構図ではない。どちらにも退けない執念があり、生き残ること自体が呪いとして付き纏う。
歴史の表舞台から消し去られた血塗られた記録。生き残るための残酷な選択。観客はスクリーンを通じて、己の倫理観が試される瞬間と直面することになる。刃が舞う。血が噴き出す。だが、そこには過酷な生を肯定する異様な気品が漂っている。