2004年、ニューヨーク・ブロードウェイで『太平洋序曲』の演出を務めた快挙は、日本の演劇史に鮮烈な記憶として刻まれている。アジアンキャストを率いて現地のアワードを騒がせた快挙は、決して偶然の産物ではない。異文化の壁を恐れず、真っ向から作品の本質を突き詰める圧倒的な情熱があったからこそ実現したものだ。
ロンドンのウェストエンド、オペラ、伝統的な歌舞伎、そしてストレートプレイ。彼の歩んできた道に「安住」の二文字はない。ジャンルや境界線をいとも簡単に飛び越えていく軽やかさと、妥協を許さない姿勢。その背中は、後に続く日本のクリエイターたちにとって道標となり続けている。