まつ毛の劇的な変化を語る上で避けて通れないのが、緑内障治療の点眼薬から偶然発見されたプロスタグランジン誘導体「ビマトプロスト」の存在だ。医療機関で処方される国内唯一の睫毛貧毛症治療薬「グラッシュビスタ (GlashVista)」の主成分として知られ、毛周期の成長期を強制的に延長させる圧倒的な臨床データを持つ。休止期にある毛根を叩き起こし、毛幹を太く、濃く変貌させるパワーは医療用ならではだ。だが、その対価として眼瞼溝深化(上まぶたのくぼみ)や角膜充血、そしてメラニン色素の生成促進による皮膚の不可逆的な色素沈着といった重大な副作用リスクを伴う。
一方で、化粧品処方の切り札として注目を集め続けているのが「キャピキシル」である。アカツメクサ花エキスと高機能ペプチドであるアセチルテトラペプチド-3を黄金比で融合させたこの成分は、毛乳頭細胞を直接刺激しながら、脱毛因子の働きを抑制するメカニズムを持つ。医薬品成分のような劇薬的リスクを極限まで抑えつつ、毛根の土台を強化する科学的アプローチとして、高価格帯のアイケア製品において不動の地位を築いた。
さらに近年では、ミリストイルペンタペプチド-17などの合成ペプチド複合体や、細胞賦活を促すバイオテクノロジー由来の成長因子(EGF、FGF)を採用するフォーミュラが台頭。どの成分が主軸にあるかによって、手に入る恩恵と背負うリスクのバランスは180度異なる。