古関裕而を語る上で避けて通れないのが、戦時中の「戦時歌謡(軍歌)」の作曲だ。多くの人々を戦地へと送り出す歌を作ったという事実は、彼の生涯に重い影を落とし続けた。朝ドラでもその苦悩は描かれたが、今回見つかった資料や近年の研究により、彼の葛藤はさらに深いものであったことが明らかになりつつある。
「戦意高揚のためではなく、ただ戦地で孤独に耐える若者たちの慰めになればと願ってペンを握った」。そんな彼の言葉が、当時の日記や書簡から見出されている。音楽が持つ影響力の大きさに怯え、それでもなお書くことをやめられなかった一人の人間の弱さと強さ。その人間臭さに、私たちは強く惹きつけられる。