7歳以上のシニア期、とりわけ12歳を超えたハイシニア期におけるトイレの失敗は、成猫期とは異なる老齢性の機能低下が隠れています。その代表格が関節疾患と脳の老化です。
日本国内の調査でも、12歳以上の猫の実に70〜90%が潜在的な変形性関節症(関節炎)を患っていると推計されています。関節が痛むシニア猫にとって、高さ15cm以上のトイレの縁をまたぐ動作や、足元が沈み込んでバランスを取りにくい大粒のシステムトイレ砂は激しい苦痛を伴います。結果として「トイレに行きたいけれど痛くて入れず、手前のマットで漏らしてしまう」という物理的な粗相が発生します。
さらに見過ごせないのが老猫 認知症 トイレ失敗の実態です。猫の認知機能不全症候群(CDS)が進行すると、トイレの場所そのものを忘れてしまったり、昼夜逆転して夜間に大きな声で鳴きながら徘徊し、廊下の中央で無自覚に放尿してしまう症状が現れます。
こうした老猫に対しては、しつけの再教育や叱責は一切無意味です。トイレの入り口をハサミで浅くカットして段差を1〜2cmに下げる、トイレの数を部屋ごとに増設する、寝床の近くにペットシーツを広範囲に敷き詰めるなど、住居側の「ユニバーサルデザイン化」による介護ケアへの切り替えが必須となります。