AIによる「あなたへのおすすめ」が画面を埋め尽くす現代において、私たちの映画体験は奇妙な偏りをみせ始めている。似たジャンル、似たテンポの作品ばかりが消費され、予測不可能な驚きは影を潜めた。そうした風潮に対する強烈なアンチテーゼとして機能しているのが、この館のプログラミングだ。
新旧洋邦を問わない自在なセレクト。昭和の隠れた名作サスペンスの翌日に、ヨーロッパの最新尖鋭ドキュメンタリーが並ぶ。特集上映のテーマ性も極めて鋭い。「失われたフィルムの記憶」「名撮影監督が光で紡いだ世界」といった独自の切り口に、近隣住民だけでなく都内から電車を乗り継いで駆けつける熱狂的なファンも少なくない。