公式記録の壁に挑む一方で、非公式の場で人類の夢を可視化した歴史的プロジェクトがあった。2017年にイタリア・モンツァで立ち上げられたNikeによる「Breaking2」である。
空気抵抗を極限まで減らすフォーミュラ1スタイルのペースカー、理想的な気象条件、そして特注のカーボンプレート内蔵シューズ。科学の知見を集約したこの挑戦は、非公認ながら2時間0分25秒という数字を記録し、その後の「サブ2」達成に向けた技術革新の引き金となった。さらに2019年、キプチョゲはウィーンの特設コースで遂に1時間59分40秒を叩き出し、人間が2時間の壁を突破できることを実証してみせたのだ。