一審判決の閉廷時、野村被告が裁判長に向けて言い放った言葉は、司法関係者のみならず日本中に大きな衝撃を与えました。
「公正な判断をお願いしたんだけど、全然公正やない。生涯、このことを後悔するぞ」
法廷内の静寂を切り裂いたこの発言について、弁護団は控訴審において「脅迫の意図はなく、裁判官の良心に対する疑問を口にした感情的な吐露に過ぎない」と釈明しました。しかし、長年にわたり報復暴力を繰り返してきた工藤会トップによる言葉であったため、司法関係者への重大な威嚇行為として受け止められ、控訴審や拘置所内での厳格な警備態勢につながりました。
現在、福岡高裁の判決を不服として検察側と弁護側の双方が最高裁判所へ上告しています。検察側は「1998年の元漁協組合長事件における共謀の推認は十分成り立ち、死刑が妥当」と主張し、弁護側は「残る3事件についても直接証拠はなく無罪である」として全面無罪を求めています。
最高裁における争点は、直接証拠が存在しない状況下で「組織の指揮命令系統と間接事実からどこまでトップの共謀を認定できるか」という刑法・刑事訴訟法の根幹に関わる論点です。最高裁がどのような法理判断を下すかによって、今後の暴力団組織や匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)に対する捜査・公判維持の基準が大きく左右されることになります。