文藝春秋の「文春オンライン」で連載され、大きな反響を呼んだ『消えたママ友』もまた、野原の代表作として語り継がれている。ある日突然姿を消したひとりの母親を巡り、周囲のママ友たちが抱えていた嫉妬や不安、家庭の秘密が次々と浮き彫りになっていくミステリー仕立ての群像劇だ。
仲良しグループという閉鎖空間特有の空気の読み合いや、無意識の序列意識。作中に登場する母親たちの台詞には、誰もがどこかで耳にしたことのあるリアルな響きがある。平穏に見える住宅街の裏側で静かに蠢く同調圧力の恐ろしさを、野原は冷徹かつ慈悲深い視線で描いてみせた。