京都パティスリーエスが放つ極上ムースとワインペアリングの深淵

京都パティスリーエスが放つ極上ムースとワインペアリングの深淵

京都パティスリーエスが放つ極上ムースとワインペアリングの深淵にまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。

店名を冠した代表作、ムースケーキ「エス」。純白のドーム状に仕立てられたその姿は、一見すると儚げな雪の彫刻のようだ。フォークを沈めると、抵抗なくすっと沈み込み、口に運んだ瞬間に温度差でふわりと気化するかのように消え去る。フロマージュブランの軽やかな酸味、ふくよかなイタリア産レモンの香り、そして中心に忍ばされた赤い果実のコンフィチュールとグレープフルーツのほろ苦さ。重層的な風味が波状攻撃のように舌の上で広がる。

オーナーシェフの小山彰央氏が徹底して追求するのは、フランス伝統菓子の骨太なクラシック技法をベースに据えながら、現代の日本人の味覚を極限まで研ぎ澄ませる独自のテクスチャーだ。重厚になりがちなバターや生クリームの油脂感を、アルコールと柑橘の酸で鮮やかに断ち切る。その構成力は、パティシエというよりも精密機械を設計するエンジニアに近い。ゼラチンを極限まで減らし、温度管理だけで保形されたムースの危ういバランスこそが、他店では決して真似のできない唯一無二の口溶けを生み出している。

山下 哲也
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山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。