こうした科学的エビデンスは、いまや厨房の常識を書き換えつつある。長年日本の家庭料理の羅針盤となってきたNHK「きょうの料理」(Kyō no Ryōri)でも、食材を無駄なく丸ごと活かす「まるごと調理法」が特集され、皮付き人参を使った滋味あふれるきんぴらやポタージュが支持を集めるようになった。
デジタル空間での熱量も凄まじい。国内最大級のレシピプラットフォームであるクックパッド(Cookpad)では「人参 皮ごと」の検索頻度が急増しており、YouTube(YouTube)上では管理栄養士(Registered Dietitian)や気鋭の料理研究家たちが、油通しのテクニックや栄養を逃さない千切りの角度を実演する動画が数十万回再生を記録している。サステナブルなエコ意識と、本物の健康志向がSNSを通じて共鳴し、皮を捨てる行為そのものが「もったいない」という文化的コンセンサスが生まれつつある。