会話の途中で思わず「あー」「えー」と声を出してしまう現象には、脳の情報処理プロセスと心理的な防衛本能が深く関わっています。私たちが言葉を発するとき、脳内では「何を話すか(概念形成)」と「どう言語化するか(構文選択・発声)」という2つの作業が同時に行われています。次に話す言葉がすぐに出てこないとき、思考が追いついていない隙間を反射的に声で埋めようとすることが、会話でえーっと言ってしまう理由の根底にあります。
さらに見逃せないのが、あーえー口癖の心理に潜む「沈黙への恐怖」と「発言権の維持欲求」です。日本人のコミュニケーションでは、会話が途切れて静寂が生まれることを「気まずい」「相手を待たせて申し訳ない」と感じる傾向が強く働きます。また、「まだ私の話は終わっていません」というサインを無意識に出し、相手に発言を遮られないようにするために無意味な音を鳴らし続けてしまうのです。