キャスティングの妙と、役者が背負ったリスクも語り落とせない。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』で国民的女優の座を確固たるものにしていた有村架純にとって、聖役はこれまでの清純派イメージを根底から覆す危険な賭けだった。聖の煮え切らなさ、自己評価の低さ、大人の皮を被りながら中身が未熟なままの脆さを、彼女は逃げずに演じきった。
そして当時、本名の水上恒司ではなく「岡田健史」として彗星のごとくデビューを飾った新星の存在感。数百人のオーディションを勝ち抜いた彼の身体性は、15歳の中学生を演じるにはあまりに骨太で、野性的な眼差しを放っていた。そのアンバランスな色気と無骨な熱量が、聖のみならず視聴者を激しく動揺させた。この危ういケミストリーこそが、嫌悪感を抱く者を戦慄させ、同時に熱烈な信奉者を生み出す起爆剤となったのだ。