単音・和音のメロディ音源から、アーティストの原音そのままを切り取る「着うた」へ――。技術の進化とともに音楽配信業界は激変を遂げた。サビの最も盛り上がる15秒間を自分のアイデンティティとして携帯電話に設定する行為は、当時の若者にとって自己表現そのものだった。
現在、音楽の消費スタイルはSpotifyやApple Musicといった定額制ストリーミングサービスが主流となった。数百万曲がいつでも聴ける時代だからこそ、逆に「端末の着信通知としてだけ機能する過去のショート音源」に独特の価値が生まれている。サブスクでフル尺の楽曲を楽しみつつ、電話の呼出音だけは平成の音を鳴らすという贅沢な共存が、今のカルチャーだ。