水疱瘡の正体は、ヘルペスウイルス科に属する「水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella Zoster Virus: VZV)」の初感染によって引き起こされる急性の全身性感染症です。感染症法では5類感染症(小児科定点把握対象)に分類されています。
このウイルスの最大の特徴は、その極めて強力な感染力にあります。感染経路は以下の3つが存在します。
- 空気感染(飛沫核感染):患者の咳やくしゃみから飛び散ったウイルスが水分を失い、微小な粒子となって空気中を長時間浮遊し、それを吸い込むことで感染します。一般的なマスクや数メートルの距離では防ぎきれません。
- 飛沫感染:咳やくしゃみのしぶきを直接吸い込むことで感染します。
- 接触感染:破れた水疱の滲出液や、ウイルスが付着したドアノブ・タオルなどに触れた手で粘膜に触れることで感染します。
1人の感染者が免疫を持たない集団の中で何人に感染させるかを示す基本再生産数(R0)において、水疱瘡は「10〜12」という数値を記録します。これはインフルエンザ(1.5〜2.0)や風疹(6〜7)を大きく上回り、感染症の中でも麻疹(はしか)に次ぐトップクラスの伝播力を誇ります。家庭内での二次感染率は85〜90%に達し、同居家族に免疫がなければほぼ確実にうつる計算です。