メアリー・ベリーが降板を決意した最大の要因は、彼女自身の言葉を借りれば「BBCへの忠誠心」に尽きます。
彼女のキャリアにおいて、BBCは切っても切れない存在でした。料理研究家としての彼女を長年にわたり支え、お茶の間のスターへと押し上げたのは、紛れもなく同局の番組だったからです。「私を育ててくれた局を裏切ることはできない」という極めてシンプルで、かつ一本筋の通った倫理観が彼女を動かしました。
民放への移籍は、番組に商業的な広告やスポンサーシップが持ち込まれることを意味します。メアリーは、純粋にアマチュアベイカーたちが腕を競い合う温かい雰囲気が、商業主義によって損なわれることを危惧したとも言われています。彼女にとって『ベイクオフ』は、単なる仕事ではなく、守るべき英国の文化そのものだったのです。