ダンクができなかったからといって、マグジー・ボーグスの身体能力に対する評価が損なわれることは微塵もありません。むしろ、彼のフィジカルスペックを現代の運動生理学の視点から分解すると、人間離れした筋出力の異常値が浮き彫りになります。
当時のシャーロット・ホーネッツのメディカル測定および報道資料によると、ボーグスの垂直跳びは公称44インチ(約111.8cm)に達していました。身長160cmの成人男性のスタンディングリーチ(手を真上に伸ばした指先までの高さ)はおよそ200cm〜205cm前後です。この数値に約112cmの跳躍力を加算すると、彼の最高到達点は312cm〜317cmに達していた計算になります。
バスケットボールのリングは地上305cm。通常、片手でボールをリムに叩き込むクリーンなダンクを行うためには、手のひら分(約15〜20cm)リムの上に手首が出る必要があり、最低でも最高到達点320cm〜325cmが求められます。ボーグスの場合、リングに指先が届くものの、ボールをリムの上から下へ叩き落とすための「マージン」が数センチ足りず、ボールを掴めない手の小ささも災いして、試合中での実戦投入には至らなかったのです。