アメリカンウォーターフロントの港に悠然と佇むS.S.コロンビア号には、ディズニーのイマジニアたちが注ぎ込んだ極めて緻密な物語が息づいています。時代設定は1912年のアメリカ・ニューヨーク。蒸気船会社「U.S.スチームシップ社(United States Steamship Company)」が巨額の資金を投じて建造した最新鋭の豪華客船という背景を持ちます。
船体の前に広がる波止場や船首に掲げられた色とりどりの万国旗(ドラフトフラッグ)は、まさにこれから大西洋を横断する「処女航海(Maiden Voyage)」へ出港するための祝賀セレモニーが行われている証です。ゲストはこの祝祭に招かれた乗客や見送り客として船内に足を踏み入れます。
1912年という年代は、奇しくも実在の豪華客船タイタニック号が処女航海に出た年と同じです。当時の産業革命が生んだ華やかな技術革新と、アール・ヌーヴォーからアール・デコへと移行する過渡期の贅を尽くした内装デザインが、船内の照明、絨毯の織り柄、真鍮の手すりに至るまで精巧に再現されています。船尾に掲げられた星条旗の星の数が、当時の合衆国の州の数に合わせた「48個(アリゾナ州・ニューメキシコ州加盟直後)」になっているなど、歴史的正確性へのこだわりは驚異的です。