かつての巨大なムーブメントが「衰退した」「死語になった」と評されるようになったのは、決してバンド自体の魅力が失われたからではありません。音楽を聴く環境とメディア環境の劇的な変化が直接的なトリガーです。
第一の理由は、定額制ストリーミングサービス(SpotifyやApple Music)およびSNS(TikTok、YouTube)の完全普及です。リスナーは雑誌のキュレーションや音楽評論家の言説を介さず、アルゴリズムを通じて個人の嗜好に合った楽曲へ直接アクセスするようになりました。これにより、「特定の雑誌がカルチャーの共通言語を規定する」というメディア主導モデルそのものが役目を終えました。
第二の理由は、サウンドの飽和とジャンルレス化です。四つ打ちダンスロックの定型化によって一過性のブームが落ち着いた後、リスナーの関心はヒップホップ、R&B、シティポップ、DTM(デスクトップミュージック)など多様なジャンルを自在にブレンドする新たな世代へと分散しました。
さらに、老舗フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』の会場移転(茨城・ひたちなかから千葉市蘇我スポーツ公園へ)や、創始者である渋谷陽一氏の現場一線からの勇退など、象徴的な出来事が重なったこともカルチャーの節目を印象づけました。