それまでのアクション作品における「高速移動」といえば、残像を残すか画面から消える演出が主流だった。しかし、この形態が見せたのは、カメラワークそのものが残像を追いかけきれないような緩急のコントラストだ。止まっていたかと思った瞬間には敵の背後に回っている「ソル」とのスピード戦。視覚の錯覚を利用した演出は、観客の時間の感覚を狂わせた。
映像表現におけるハイスピード撮影とスローモーションの交錯、いわゆるスピードランピングの手法を、漫画という静止画媒体で完璧に表現し切った技術的意義は計り知れない。画面がブレるほどの衝撃波と音速の打撃音。五感を刺激する演出の組み合わせが、読者に「目にも留まらぬ速さ」を体感させた。