服を着せるのではない。スタイルを編集するのだ。小沢宏のキャリアの原点は、大学時代に踏み込んだ雑誌『POPEYE』の編集部にある。
80年代半ば、日本の若者文化を牽引していた同誌の現場で、小沢は誌面作りの洗礼を受けた。単に洋服を並べるだけのカタログではない。企画の意図を汲み取り、背景にある文化を読み解き、一コマの写真にストーリーを凝縮させる。編集アシスタントとして培ったこの「編集視点」こそが、後のスタイリスト・小沢宏の根幹を形成した。
独立後の仕事は多岐にわたる。『POPEYE』をはじめとするメンズファッション誌はもちろん、大手セレクトショップ「SHIPS」のカタログや各種ブランドのクリエイティブコンサルティングを手掛けた。彼の手掛けるスタイリングは、常に時代の一歩先を捉えながらも、決して浮つかない絶妙なリアリティを備えていた。