失恋の痛みが物理的な負傷と同じように苦しいのには、明確な身体的理由がある。著名な人類学者ヘレン・フィッシャー博士による脳機能イメージング研究によれば、振られた直後の人間の脳内では、痛みを感知する部位と「報酬系」が同時に活性化しているという。これは薬物の禁断症状と驚くほど類似しており、脳が相手という「依存対象」を激しく求めて叫んでいる状態なのだ。
心理学者の間でも、この激しい執着と喪失感の分析が進んでいる。メンタリストDaiGo氏も指摘するように、失恋時に陥る焦燥感は「損失回避バイアス」と呼ばれる強烈な心理作用によるものが大きい。手放したくないという本能が冷静な判断力を奪ってしまうのだ。また、日本カウンセリング学会の知見でも、失恋による精神的ダメージを放置することは抑うつ状態を招くリスクがあると警鐘が鳴らされている。恋愛心理学の観点から見ても、まずはこの脳のパニック状態を自覚することが回復の第一歩となる。