浅野が犯した最大の過ちは、単なる判断ミスではない。融資先である西大阪スチールの東田社長と裏で繋がり、5000万円もの私的なキックバックを受け取っていたことだ。つまり、最初から騙す意図を持って融資を実行し、破綻することが分かると、現場の責任者である半沢に泥をかぶせて自らは逃げ切ろうとした。
この構図は、現代の企業不祥事でも驚くほど頻繁に目にする。粉飾決算やデータ改ざんが発覚した際、経営陣が「現場が勝手にやったこと」と釈明する記者会見は、まさに浅野がやろうとしたことの縮図だ。組織のトップが保身のためにトカゲの尻尾切りを行う構造は、どれだけコンプライアンスが叫ばれても根絶できていない。