なぜA4サイズの縦横比はこれほどまでに美しく、扱いやすいのか。その秘密は数学的比率にある。短辺と長辺の比率は「1 対 √2(約1.414)」で構成されており、これは日本では古くから「白銀比」と呼ばれる。半分に折っても元の縦横比がそのまま維持されるという驚異的な特性を持つ。無駄な余白を生み出さず、幾度カットしても同じ美しい形状を保つ設計だ。
この合理性に最初に気づいたのは、18世紀ドイツの物理学者ゲオルク・クリストフ・リヒテンベルクだった。彼が1786年に書簡へ記したメモが、現代の用紙規格の原点となっている。その後、20世紀初頭にドイツのエンジニアであるヴァルター・ポルストマンがこの理論を基にDIN 476規格を制定。紙の無駄を極限まで省く工業規格としてヨーロッパ全域へ広がった。
このドイツの規格が発祥となり、現代では国際標準化機構 (ISO)によって世界規格化された。それが現在私たちが世界中で利用しているISO 216規格である。一見するとシンプルな紙の一枚にも、200年以上にわたる科学者たちの思考と標準化への情熱が刻まれている。